偽りの結婚
それまで、頑なに拒否してきた者が、いきなり一緒に暮らしだすなどとは、周りからしてみれば驚いたのかもしれない。
それ程にシェイリーンは始めから特別だったのだろう。
考え込んでいると、リエナは温かな笑みを浮かべる。
「愛してしまったんでしょう?シェイリーンさんを」
そんなこと…言うまでもない。
好きすら超えるこの想いは、愛のほか何に例えられるだろうか。
「もう…彼女でなければダメなんです」
遅い初恋がもたらしたものは、強烈なまでの執着心。
シェイリーンに出会うまでは、知らなかった。
相手を想う愛しい気持ち。
他の男に笑いかける時に沸く嫉妬。
離れたくない、離したくないと思う独占欲。
気丈で、けれど弱い君を守りたいと思う庇護欲。
全部、シェイリーンが教えてくれた。
ふらりと遊びまわる男と言われたラルフ・ランカスターはどこへやら。
シェイリーン相手だと、全てがセオリー通りにはいかない。