偽りの結婚
「………。」
それ程のことならば、聞けば絶対に止めに入るということか。
ベルナルドがどういう立ち位置につくのか、考えを巡らせていると…
「大丈夫です。私達がシェイリーンを悲しませることはしません。」
ラルフの思考を読んだかのように答えるベルナルド。
「それに、私がこの計画に関わらなければ、一週間後、シェイリーンは貴方の元へ戻ってこないかもしれませんよ?」
ベルナルドは、そんなに重要な役どころなのだろうか。
どちらにせよ、ラルフの選択肢は一つだった。
「今は、その言葉を信じる事にしよう」
シェイリーンを再びこの腕に抱けるなら、少しの事は我慢しよう。
この兄妹たちならば、シェイリーンを傷つけないだろうから。
目の前のこの男に助けられるというのは少々癪だが・・・
ラルフは、多少の不安が残るも、ノルマン兄妹の言うことを信じ、屋敷を出た。