偽りの結婚
だから今日森へ行った時に匂いを嗅ぎつけて寄ってきたディランを目にした時はほっと安堵した。
「確かシェイリーンも雷が苦手だったよね?シェイリーンこそ大丈夫だったのかい?」
「え?あっ…えぇ、私は、大丈夫でした。一人ではありませんでしたし」
ベルナルドの問いにギクッとして目を泳がせながら答える。
アリアにはラルフへの想いを話しているが、ベルナルドには話していない。
偽りの夫を愛してしまったなど、恥ずかしくて言えない。
ましてやその雨の日に、ラルフに抱きついて泣いてしまったなど言えるはずもなかった。
誰といたかなんて名前を言ってないし大丈夫よね?
聞かれたら、モニカだと言いましょう。
ベルナルドが僅かに眉を顰めたことに気づかず、一人悶々と考えていると…