偽りの結婚



「そうですね。では、こうしましょう」


その場で思いついた仮面舞踏会のコンセプトを話し始めた。



仮面舞踏会を開く目的は“出逢い”の場を提供すること。

今まで数多くの舞踏会が開かれてきたが、舞踏会とは名ばかり。

女性が人生の伴侶を得るために品定めをする場でしかなかった。


しかも、身分や家柄、容姿で判断するだけで、その人の内面を見ようとはしない。

自分自身寄ってくる女という女がそのような者ばかりだったので、うんざりしていた。



そして、そのような女たちは決まって身分が高い事か、色香で男を落とそうとする。


なので、今回の舞踏会では女性には偽名を使ってもらい、同じドレスを着用してもらう。

そして、香水、宝石などの一切の飾りを付けないことを条件とする。

ただし、既婚者や恋人がいる者は仮面も、指定のドレスも着用しなくても良いことにして。



この条件の元で出逢いの場を提供出来れば、男性も正しい判断が出来るだろうし、女性も内面だけでアピールせざるを得なくなる。


そう言う意味での“出逢い”の場だった。


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