偽りの結婚
現在はその仮面舞踏会当日―――
ラルフは、会場をザッと見渡す。
まさか、こんなに参加者がいるとは思わなかった。
綺麗なドレスを着飾って、たくさんの宝石を付けて競っているような令嬢たちが、こんなにも面倒な仮面舞踏会に参加することは考えにくく、今回は参加者が少ないと思っていたが・・・
参加している女性たちは既婚者以外、皆仮面を付け、指定された白いドレスを着用している。
胸元は広すぎず、丈は長い、清楚なイメージを抱くようなドレス。
ネックレスや指輪など、宝石の類は一切身につけていない。
仮面を付けているので、本当にどこの家の令嬢かは分からないだろう・・・
この仮面舞踏会が、令嬢たちの意識を変えるきっかけとなれば良いが・・・と思うラルフであった。
喜ばしげに、会場を見渡すと、一人の女性に目が止まる。
皆と同じ白いドレスに身を包み、銀色で縁取られた綺麗な仮面を付けた女性。
その仮面から覗く瞳はエメラルドグリーンで、腰まである髪の色はプラチナブロンド。
この国で、その色彩を持っているものは珍しくはないが、間違いない。
あれは、シェイリーンだ・・・・