偽りの結婚
「ラルフ。」
鈴が鳴るような声で、自分の名を呼ばれた。
「ソフィア?」
振り向くと、鮮やかなブルーのドレスに身を包んだソフィアが近づいてくる。
指定のドレスを着ていないのは、恋人がいるという意味を指すことを彼女は知っているのだろうか。
まぁ、あながち間違ってはいないんだが・・・
「どうしてここに?」
訝しげな表情でソフィアに問う。
招待したつもりはないが・・・
「エドワード様とリエナ様に招待されたのよ。」
余計なことを・・・
別にソフィアが舞踏会に来るのは良い。
けれど、それは今日でない時の話だ。
もし、シェイリーンが誤解したらどうしてくれるんだ・・・
「説明している暇がないが、今はマズイんだ、ソフィア。」
内心ヒヤヒヤとしながら、手短に話すラルフ。
「シェイリーンさんがいるから?」
ソフィアは冷ややかな目を向けて言う。