偽りの結婚
「シェイリーン……」
ラルフは立ち上がり、私を強く掻き抱いた。
「もう絶対に離さない」
抱きしめる腕に一層力を込め、私の首筋に頭を埋めるラルフ。
体が軋む程の力に抱きしめられ、嬉しい苦しさを感じつつラルフの背中に手を回す。
「ラルフ……」
離れていた時の苦しさや寂しさは半身を失ったように痛みを伴って。
まるで自分のあるべき場所はラルフの隣であるかのように、当然のごとく体がラルフの傍を求める。
「私も…もう貴方から離れたくない」
ラルフは腕の力を緩め私の顔を驚いた様子で見つめる。
しかし、次の瞬間には目を細め、蕩けるような甘い声で囁いた。
「一生を掛けて君を愛することを誓うよ」
そしてそのまま私の唇をそっと塞ぐ。
最初は触れる程度の口づけから始まり、段々と口づけが深まる。
離れていた分を補うかの如く長く深い口づけだった。