偽りの結婚
「シェイリーンおめでとう!」
「シェイリーン様、おめでとうございます」
「幸せになるんだよ」
誓いの口づけと沸き立つ観客席の拍手にこれまでにない幸せを感じた。
アリアやモニカ、ベルナルドが祝福の言葉を口にする。
アリアの頬にはキラリと光るものがつたっていた。
「ラルフ…私今とっても幸せだわ」
瞳に涙を浮かべラルフを見つめる。
「これから二人でもっと幸せになろう。今までの分を取り戻すくらいに」
そう言ってラルフは私を軽々と抱き上げる。
ラルフよりも高いところから見下ろす形になり、ラルフの首に腕を回す。
そして交差するエメラルドグリーンの瞳と紺碧の瞳。
湧き立つ観客の喧騒など聞こえないかのように見つめ合う私たち。
そして、ラルフは悠然と口を開く。
「シェイリーン、君に、君ただ一人に永遠の愛を誓う」
ラルフの言葉を合図にしたように鐘が鳴り響く―――
青々とした空に飛び立つ鳥たち。
湧き立つ会場の観客たち。
全てが私とラルフの結婚を祝福した。