偽りの結婚
ミランダが諦めてくれることを願ったが…
「国王の勅命は絶対です。シェイリーンにも招待状が届いている以上、行かなければなりません」
ピシャリとそう言ったミランダにイリアは悔しそうに押し黙る。
そして、私の方に視線を移して淡々と告げる。
「当日は脇で突っ立ってるだけで良いわ。ドレスはイリアのものを着なさい」
「嫌よッ…なぜ私がシェイリーンにドレスを貸さなければならないの」
余程我慢ならなかったのか、一旦は黙っていたイリアが声を上げる。
きっと私にドレスを貸すのが嫌であんなこと言ってたのね。
小さな子供の様に駄々をこねるイリアはどうにも我慢ならないようだった。
そんなイリアを横目にミランダは深々と溜め息を吐く。
まるで私だって嫌だと言いたげな表情だ。
「スターン家の恥になるよりはましでしょう」
「分かったわよ。一番地味なの貸してあげる」
顔に嫌だと書きつつも渋々承諾するイリア。