偽りの結婚
「わかりました。…けれど、条件があります」
「うん、何かな?」
まるで私が承諾することを予想していたように笑顔で問うラルフ。
どこまでもラルフの良いように動いていくことに、少し気に入らなかった。
「必ず離婚をしてくださること。それから、結婚しても自由な時間を与えてくださることを約束してください」
「離婚は必ずすると約束しよう。僕もいつかは王家の跡継ぎをもうけなければならないからね」
離婚については即答するラルフ。
これでも一応は王家の立場をわきまえているようだ。
「それから、自由な時間を…ということだが、それは大丈夫だろう。国事等には参加してもらうが、それ以外は自由に過ごしていて構わない」
「それを聞いて少し気が晴れました」
正直、全く気が晴れていなかったが、自由な時間があると聞いただけでもましだった。