偽りの結婚
「シェイリーン、ここにいたのか」
一人これからのことを悶々と考えていると、思考を遮るように声をかけられた。
部屋に入ってきたのは、私の悩みの種を作った原因の男だ。
「ノックもなしで入ってこないでください」
部屋に入ってきたラルフに背を向けて警戒する。
「夫婦の間にノックも何もないだろう。それに、ここは僕の部屋でもある」
ククッ…と笑いながら、正論を言うラルフ。
そうだ、私は目の前の王子と結婚したのだ。
形だけだけど。
「それとも、結婚式でのことまだ怒っているのかい?」
「……っ!!」
ビクッと体が跳ねる。