偽りの結婚
―――コンッコンッ……
「シェイリーンさんなの?入ってきて頂戴」
私が来るのが分かっていたのか、こちらから言う前に入るよう促された。
「失礼します」
細かい装飾がされた立派な扉を押して王妃の部屋に入る。
「シェイリーンさん、よく来てくれましたね。ラルフが呼んでくれたのかしら?」
部屋はとても広く、落ち着いた暖色系で整えられた部屋だった。
王妃は私をソファーに来るよう促し、座らせる。
「はい。リエナ様が私を呼んでいるとお聞きしました」
「あら、お母様と呼んでくれないの?せっかくこんなに可愛い娘ができたのだから、お母様と呼んでほしいわ」
可愛い娘からお母様と呼ばれるのが夢だったの…と目をキラキラとさせてこちらを見ている。