偽りの結婚
「けれどリエナ様は本当にこんな私が娘で良いのですか?爵位も高くありませんし、家も立派とは言えません」
おそらく舞踏会でほぼ全ての人々が、ラルフとの結婚を良く思っていないだろう事が伝わってきた。
王家としても何の後ろ盾もない伯爵家の娘が突然登場して、さぞ驚いたことだろう。
「爵位や家の規模は関係ありませんよ」
ふわりと温かい笑顔がやんわりと否定する。
「それにね、ラルフが自ら妃を選んで私達に紹介してくれたのは初めてだったから嬉しかったのよ」
目を細め、本当に心から嬉しそうにしているリエナ。
「私達親の方がラルフの結婚に熱心になっていて。今回もどうせ決められないのだろうと思って候補をあげていたんだけど、私達はラルフが自ら妃を選んでくれることが一番良いと思っていたの」
根っからの政略結婚ではなかったのね。
てっきり強制的に結婚させようとしていたのではないかと思っていたが、本人の意思を尊重してきてのことだったのだ。