偽りの結婚



「母親としては自分の決めた人と結婚して欲しいと思っているし、ラルフ自身が決めた人ならとても嬉しいわ。だから、貴方が気にする様なことはないのよ」


遠慮なくお母様と呼んで頂戴ね…と微笑みながら話す。





「ありがとうございます…お母様」


お母様と呼ぶと、リエナは嬉しそうに微笑んだ。

ラルフとの関係が偽りなだけに複雑な心境になるけれど、騙している罪悪感半分と、嬉しい気持ちが半分だった。





実の母は私を産んで間もなく亡くなってしまい、母の面影さえ知らない。

ミランダも母ではあるが、私に対する愛情などないも等しかったので、母というものを知らなかった。


きっと母親ってこんなにも温かく包んでくれるような存在なのでしょうね。

だからこそ、産まれて初めて母親の温かさにふれたことが少し嬉しかった。


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