偽りの結婚
ふと思い出すのは森の中の友人のこと。
私がここにいる事を知っているアリアはともかく、ディランは私が消えた理由を知らない。
きっと寂しがっているでしょうね…
ううん、私が寂しいのかも。
ディランの横で本を読むことが習慣となっていたため、こんなにもたくさんの本に囲まれても、どこか寂しかった。
「しかし、今日は誰も来ないわ」
王家の書庫は学者のみに開放されており、いつもなら数人の学者が本を求めてやってくるのに。
「ゆっくりできるのは久しぶりかも。」
侍女のモニカが付いてから、随分と周りが騒がしくなった。
何をするにしろどこへ行くにしろ、彼女と彼女の下で働く侍女たちが付いてくる。