輪廻怨縛
どうしても探してしまう。
ゴミの山と化したかつてあたしの私物だった物を、必死になって掻き分ける。


目が霞んできた。
あまりにも絶望的な状況に、涙が溢れてきたのだろう。


「ひいっ……! ひっ……、ひ……」


そしてついに、刑は執行される。
発症してしまったのだ。息を吐けなくなる病気、喘息を。


「ひ……、ひ……」


薬を失ったあたしにはもう、首と胸を掻き毟り、悶え苦しむことしかできなかった。


口元がべたつく。
どうやら涎という汚水は、呼吸両方ではなく呼か吸どちらか片方が損なわれるだけでも垂れてくるものらしい。


《痛い痛い痛い!》


とにかく痛かった。
鼻が、喉が、胸が、背中が、上半身のほぼ全ての部位が、劇物でも飲み込んでしまったかのようにキリキリと痛む。


数ある死に方の中でも、窒息死が一番苦しいと言われる所以が解ったような気がする。




とにかく痛い。




「ひ……、ひ……、……、……、……、……」


とうとう吸うことさえできなくなってしまった。
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