輪廻怨縛
もう少し、粘ってみるとしようか。


「通り名じゃないとしたら、あだ名として八心思兼って呼ばれる可能性のある人って、どんな人だと思います?」

「そうだなあ……、八心思兼を奉ってる神社の神主とか、守護神が八心思兼の密教僧とか、あとは……、八心思兼を降ろせるイタコとか、霊媒師あたりですかね、僕が思い付くのは……」

「そうですか。ありがとうございました」


《全然関係無さそう。参考にもならなかったなぁ……》


正直な話落胆を禁じ得なかったが、飛びっきりの笑顔で礼を言って、頭を下げた。


「じゃあ、申し訳ないですが、お掃除お願いします」


手を振って、その場を辞する。











エレベーターで部屋へと帰ってきた。


結局大竹さんからは、謎解きに関わる有力な情報や考え方を引き出すことはできなかったが、かつて同じ苦しみを味わったことのある仲間を見付けることができたのは、大きな収穫だったと言える。
次に会ったときに、発作に対する予防策や、克服法などをミッチリと教えてもらうとしよう。
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