輪廻怨縛


〔おまえはこれが最善だと思ったんだろ? だったら今更、別なやり方なんぞあるわきゃねえじねえか〕


頭の中に声が降ってきた。


この声の主は赤星拓真。


彼は、神である。


だが、世間で言われている神とはまた、スタンスとは違う。


彼は、霊なのだ。
元人間なのである。


彼の話によると、神というのは霊体社会における役職のような物だというのだ。


そして彼は今現在【八心思兼】という役職に就いたばかりなのだ。


八心思兼の職務は、強い怨みを抱いて死んだことによって怨霊と化した霊達を片っ端から成仏させること。


あの世で四番目の役職であり、男用役職の三番目である八心思兼神から出世するには、


転生のために必要な霊的エネルギーを数値化した【功労点】を鬼のように稼がなければならならないらしく、


自分一柱では百万年経っても次の役職である【月読命】になれないと判断したという。


ちなみに死後の世界における時間感覚は、現世の百年が一年ぐらいに相当するらしい。
さっきの百万年という数値は、彼の感覚での言葉であるため、わたしの感覚では一億年に相当する。
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