輪廻怨縛
怨霊というのは厄介なもので、現世でも、地獄でも、あの世でもない怨霊のみが集まる世界に隠れ住んで、そこから怨念を飛ばして現世の人やあの世の霊にちょっかいを出してくる。
その世界は例え神と呼ばれる高級霊であっても、易々と見付けることはできない。
人間でこの世界を見付けた者はいないが、彼に聞いてみたところ、あの世にもいないらしい。
ならばと考えた彼は、現世、あの世通じて数少ない、怨霊を自分のいる世界に引っ張り出すことのできる者とタッグを組もうと判断。
それができるうえに以前から顔見知りだったわたしに、タッグを組んでくれと泣き付いてきたため今に至る。
彼のわたしに対するポジションは、名目上【守護神】となっているが、わたしから言わせればただの背後霊だ。
「そっか……。そうだよね」
確かに彼に言う通り、最善策より上の策など無い。
ある訳がないのだ。
「どう思う、赤星くん……」
この喘息騒ぎの元凶はなんなのか。
わたしなりの答えはもう出ていたが、一応パートナーである彼にも伺を立ててみた。
〔怨霊だろ……〕
見解は……、一致した。