輪廻怨縛
案の定福留さんから、
『心臓動いてるよ! まだ生きてるって!』
との答えが返ってきた。
放送枠が残り三十秒を切った。
画面は、緊迫した現場を映しながら、エンドロールを流し始める。
仰向けに横たわる香織さんの尻の下から、とうとう水溜まりが拡がり始めてしまった。
意識が飛んだらしい。
ほんの少しだけ彼女の失禁を捉えてしまった画面から、『この番組は、ご覧のスポンサーの提供でお送りしました』との、お馴染みのフレーズが流れる。
表示された会社名のテロップが、少女の垂れ流した汚水をうまいこと隠している。
だが、わたしのように画面にかじりついて様子を見守っていた者がいたとすれば、おそらくその人は彼女の失禁に気付いたことだろう。
本気で心配するファンだけが見てしまうのだから、皮肉なものである。
それぐらい、一瞬の出来事だった。
画面は、とうとうCMへと変わった。
これでもう、ここから先の様子を知ることはできない。
画面が切り替わると同時に、画面から伝わってくる空気というか、波動のようなものが変わる。
『来たぞ! 救急隊来たぞ!』