輪廻怨縛
今の義妹の状況は、レッドカードで司令塔が退場してしまったサッカークラブのようなものだ。
わたしに司令塔である魂を呼び出され、完全に生後に培った顕在意識のみで動いている状態。
魂とは不変不滅の存在であり、何度転生を繰り返しても、その本質が変わることはない。
そして、それぞれの人生で培ってきた顕在意識がその本質に絡み付いて、潜在意識として今現在現世に生きている者に干渉しているのだ。
当然潜在意識の核である魂の本質は不変だから、今までトラブルに巻き込まれてきた状況というのもまた、ほとんど変わらない。
だからこそ、現世が問題行動を起こそうとしたとき、それを警告するなど出来るのだ。
これがいわゆる虫の知らせである。
魂を抜かれると、まずこれが期待できなくなる。
そして、顕在意識が理性を潜在意識は本能を担当している。
本能の中には、生命活動を維持していくのに不可欠である、生存本能や闘争本能が含まれているのだ。
魂を抜かれると、余計な本能とともに、これらの本能までヘタってしまうことになる。
わたしに魂を呼び出された義妹は今、危機管理能力が著しく低下した、ヘタれ状態になっているのである。