輪廻怨縛


それが解っていて、あからさまな好意の目を向けたのがいけなかったのか。


それとも、


明らかに祟られている香織さんを来週にゲストに迎えるというのに、無警戒に義妹の魂を呼んでしまったのがいけなかったのか。


「最後の質問です。

あなたの夢はなんですか?」


質問を投げているのは番組のナレーションなので、わたしは


《あなたのお名前は?》


〔岩国百合と申しまする〕


《最後の職業は何でしたか?》


〔職業?〕


《御役目です》


〔ございませぬ〕


という具合に魂との会話を進めていた。


《あなたはどういう家に生まれたのですか?》


〔わたしは仙台潘次席家老、岩国臆遼が長女にございました……あっ!〕


通常魂は、前世の記憶をガッツリと引き継いでいる状態で、潜在意識として存在している。
だからこそ魂と対話することによって、ゲストの前世を知ることが出来るのだ。


今までスムーズに進んでいたインタビューが、突然義妹の前世である百合姫によって遮られた。
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