輪廻怨縛
「赤星くん! 赤星くんお願い!」
邪気単体であったなら、わたしでも充分相手にできるのだが、義妹を質に取られたなら赤星くんに丸投げしたほうが安全だ。
〔なにやってんだよおめーはよ! ったくしゃーねーなぁ〕
ぼやきながら赤星くんがバックから抜ける。
本来わたしの魂と寄り添う形で共存している赤星くんを自分の目で見るのは、始めのほうこそ違和感バリバリだったものの、今はもうすっかり慣れてしまった。
それだけ沢山彼にお尻を捲くっているのだということを考えると、なんだか情けなくてふがいなくて、嫌になってくる。
またわたしの前にツンツンに逆立てた赤い長髪が揺れた。
〔ふーっ、どうすっかな……〕
いつもの赤星くんなら、魂の定位置目掛け全力で百合姫を投げ込むことになるのだが……。
本来在るべき魂を、在るべき場所に叩き込むことによって、在るべきではない者を叩き出そうという戦略だ。
いつもなら、だいたいこの戦略で決着が着く。
元高校球児で七つのプロ野球団からスカウトが挨拶に来たという彼の投球能力をフル稼働させるのだから、その制球力は百発百中だ。