輪廻怨縛
プロレスがよい例である。
パワーボムに代表される強烈な投げ技がたいてい股間に手を掛けているのは、そういった理由によるものなのだ。
罵りには答えずに赤星くんが彼女をリリースする。
〔およよよよよよよ!?〕
姫はクルクルと、悪代官に帯を解かれる町娘のような回転をしながら、物凄いスピードで、頭から魂の定位置へとすっ飛んでいく。
いつ見ても惚れ惚れするようなピッチングフォームだった。
姫の回転は確か、日本プロ野球で言うところの、フォーシームジャイロボールとか言うストレートの筈だ。
本来なら、これで怨念と魂が入れ代わる。
ジェット推進力に強烈な運動エネルギーを加えたぶちかましである。
並の怨霊ならば、軽々と吹き飛ばせるだろう。
吹き飛ばしたならば、元々完璧なフィット感を有する自分の魂だ。
定位置からズレてさえいなければ、そのままそこに収まる筈なのである。
「何人であれど……、妨害は許さぬ……。妨げるとあらば……、葬るのみ……」
義妹に取り憑いた怨霊は、いい気になって言葉を続ける。