輪廻怨縛


もうすぐ姫が定位置に到達する。


「無駄よ……。わたしは……、かようなものになど……、屈さぬ……」


ジャイロ回転した姫がすっ飛んでくるのを知ってか知らずか、怨霊は余裕をこいている。


そして姫は、義妹の頭部を抜け、定位置である後頭部上方へと飛び込んでいく。


いつも通りなら、魂が入れ代わる筈だ。


定位置に到達し、霊体が弾き飛ばされる。




弾き飛ばされた霊体は、ジャイロ回転していた。




〔あ~れ~!!!!!〕


在るべきところに還り損ねた百合姫は、お約束の叫びをあげて、遥か彼方へと消えてしまった。


〔くそっ……! やっぱ駄目だったか! 相当ヤベーぞあいつ〕


あからさまに悔しがっている。
こうまで悔しがる赤星くんを見るのは初めてだ。


〔ジュジュ! 早く百合姫呼び戻せ! しゃーねーなあ、やるしかねえのか!!〕


どうやら他にも手があるらしい。
あるのならとっととやって欲しいものだが、今まではずっとフォーシームジャイロボール作戦でどうにかなっていたのだから、ある意味しかたがないのかもしれない。
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