輪廻怨縛
《前世の岩国百合の魂よ、我の呼出しに応じ賜え》
呼ぶとすぐに、わたしの中に入ってくる。
怨霊の祟りを受けていない魂は本当に扱いが楽だ。
《我から出賜え》
〔なんじゃ御主ら! わらわが次席家老岩国家の……〕
〔うるせえ! それどころじゃねえんだよ!!〕
わたしから出てくるなり文句を言い始めた百合姫を八心思兼神である赤星くんが一喝して黙らせる。
さっきまでの、お姫様に対し礼節を弁えていた物言いとは態度が真逆になっている。
〔俺は八心思兼だ〕
黙らせたうえで、あの世でのポジションを明かす。
〔おまえもちゃんとあの世を経由して転生したんだったら、現役の八心思兼がどんだけ凄えかは解んだろ。今度ヒステリー起こしたら、天罰くらわすからな……〕
ドスの効いた声で騒ぐなと脅しにかかる。
〔……、百合姫に通じねえ言葉あったら面倒だから、ジュジュん中ぶち込んでもらえるか〕
せっかく外に出したのに、また呼び込むことになってしまった。
《岩国百合の魂よ、我の呼出しに応え賜え》
百合姫がスポンと、吸い寄せられるかのように、わたしの中に入ってきた。
これで彼女はわたしが持っている知識を共有したことになる。