輪廻怨縛
〔今回だけは見逃してやるがな……、次会ったときが……、貴様の輪廻が終わるときだと思えよ!!〕


「うっうっ……」


義妹の姿形をした怨霊が、苦しみの嗚咽を漏らす。


真っ黒な禍のオーラが、火薬工場が爆発したかのような勢いで左腕に燃えたぎっている。


いくらなんでもあんな霊力が直撃したら堪らないだろう。
この力はフォーシームジャイロボールの比ではない。


「ぎっ……! ぎいいぃやぁああぁあ!!!」


けたたましい悲鳴が響き渡り、義妹の整った顔が苦しみに歪む。


オーラが二の腕真ん中ぐらいまで減っている。
どうやら少し、怨霊にくらわしてやったらしい。


〔二つ聞く。おまえは誰だ。そして、大村千夏ってのは誰だ〕


「わっ、わっ、わたくしは雪奈……。甲斐の歩き巫女出ございます。大村というのはわたくしの上司でありました……」


〔雪奈か……。もう二度と俺の前に出てくんじゃねえぞ!!!〕


大声で恫喝しながら、残りのオーラを全て魂の定位置に叩き込む。


「ぎええええぇ!!!!」


義妹は誰だが解らないぐらい顔を歪め、そのまま卒倒した。
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