輪廻怨縛


「ん……? んぁ……、あぁ……」


赤星くんは一時間は意識が戻らないと言っていたが、蓋を開けてみればものの一分程度で戻ってきた。


ここから先は通常のスケジュールで進めることになる。











番組が終了した。
あれほどの霊撃を受けた割に、義妹は意外となんともないようだ。


〔我が娘ながら……、とんでもなくタフなやつだな、あいつ〕


赤星くんの苦笑う声が聞こえる。


〔あれだけのショックを精神領域にくらったら、普通ショック死したっておかしくないんだぜ?〕


確かにあれは凄かった。残ったオーラを全て解き放ったとき、怨念は瞬く間に遥か彼方へと吹っ飛んでいったのだから。


〔まあそんなことよか大村千夏だな。なにが起こるか解らんかったから追っ払うこと優先したけど、本来あの雪奈とかいうやつ、大村千夏に取り憑いてたんだから〕


そうだった。
身内のピンチにすっかり忘れていたが、あの怨霊のターゲットはあくまでも大村千夏という人であり、義妹はいうなればとばっちりを受けただけなのだ。


〔おまえの知り合いじゃねえのか?〕


「いや、知らない」


全く覚えが無かった。
正真正銘見たことも聞いたことも無い名だ。
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