輪廻怨縛
「女の人かなぁ。おおむらちなつ……。男の人にもちなつっているのかな……」
〔千春ならどっちもあるんだがな……。まあ、男でも皐月とか弥生とかいるし、いてもおかしかねえだろうな、男のちなつ〕
謎だった。
大村千夏も含めて、全ての状況が謎の怨霊の襲来だった。
いったい何のために、わざわざ己の天敵である霊能者の元に、わたし達とは全く関係のない人物を祟るという犯行声明を出しにやって来る必要があるのか。
まずそれがさっぱり解らない。
全く以って理解の範疇を遥かに越えている。
〔今まであいつ、俺らにちょっかい出してきたことあったか……?〕
「無いわね」
〔だよな……。だとしたら、今まで会ったことが無くて、しかも近いうちに会うことが確定してるやつだよな? 大村千夏〕
?
確かにそれが一番有り得る可能性だとは思うが、結論するには少し早計過ぎやしないだろうか。
「今まで形を潜めてたけど、何かの拍子で祟り始めたのかもしれないよ?」
〔ねえな。歩き巫女ったら戦国時代の武田家のくノ一部隊だろ。前世の怨霊だぜ間違いなく。近いうち初めて会うジャリタレでもいんのか?〕
「いや、いない」