輪廻怨縛


その結果、


いつも喧嘩して生傷が絶えない、


恋人が出来ても長続きしない、


ちょっと寒くなっただけですぐ風邪をひき、しかも必ず拗れる、


ちょっと埃っぽいだけですぐ、喘息発作が起こるなどの効果が出てくる。



それが怨霊の祟りの全貌なのだ。




怨霊は直接的に不幸な出来事を起こしている訳ではなく、ただ単に、不幸へ向かうレールを敷いているだけなのである。


だからこそ、そうだからこそ逆に、自分が祟る対象とガンガン同化していくことになる。


だってあくまでも、表向きは大村千夏として行動しなければならないのだから。


その状態が、大村千夏が転生してからずっと続いているのだから、かなり長い間己を捨てて大村千夏になりきっていたことになる。




そうなるともう、ほぼ条件反射のレベルなのだ。大村或は千夏と呼ばれると、反応を示してしまうことは。




そして、悲しいかなほとんどの怨霊が、祟る対象と同化、混同してしまっているのだ。
今まで相手にしてきた全ての怨霊が、例外無く依頼者の魂を呼び出したときに勝手に入ってきたのだから。
< 67 / 87 >

この作品をシェア

pagetop