輪廻怨縛
漸くあたしを縛り続けていた病気という名の鎖から解放されることができるかもしれないのだ。


逆に言えば、河山さんが無理ならばもう、治る見込は無いと思わなければならないのだが。


期待と不安に揺れながら車に乗り込む。
森の中から街中へと変化した車窓の景色は、ちょっとした安心感を与えてくれた。


どうやら都会暮しのほうが長いあたしには、マイナスイオンよりもコンクリートジャングルのほうが癒し効果が高いらしい。


「ねえ川上さん、あたしの前世ってなんだと思います?」


気になって気になってしかたがない。
自分は傍目からはどう見えているのだろう。


「えー? そうだなぁ……、どっかでかい商家とか、庄屋とか、或は上級武士とか将軍の箱入り娘って感じだなー。大穴として、戦わない諜報専門の女忍者とか。忍者だとしたら、たぶん総元締だろうな、ただ部下に指示出すだけ」

「あたしってそんなに偉そうですか?」


ちょっとショックだった。
一番身近にいる川上さんからそんなふうに思われていたとは……。
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