輪廻怨縛
『うーん、あんまりくどいようですと、どうしても芸能人の名前をダシに、売名行為をしようと必死になって画策しているとしか思えなくなってしまいますが……』
かなり現実的な考え方をする人のようだ。
さすがにこの人に香織さんは祟られているとは言えないだろう。
出演取消さえ有り得てくる。
〔すべんなよ! 今度こそすべんなよ!〕
「ごめんなさい、急に変な話してしまって。明後日辺り軽く打ち合わせしたいんですけど、空いてますか?」
『あれ? いつもぶっつけだって聞いてますけど? 今回はヤラセなんですか?』
ここまで行くともうダメだ。
川上さんの中で、ヤラセ疑惑まで浮上している。
どうしよう……。
どうやって香織さんと接触しよう。
どうにかしないと、取り返しのつかないことになりそうだ。
雪奈はわざわざ犯行声明を出しているのだから。
このピンチをどうやって彼に伝えればいいのだろう。
〔もう切れ。ダメだおまえ。片っ端からボロが出てんじゃねえか〕
……、……、……、どうやら、それしか無さそうだ。
「すみません、突然意味不明な電話してしまって。では、来週お願いします」