輪廻怨縛
なかなか思い通りにはいかないものだ。
『はい、よろしくお願いします』
こうして川上さんとの話し合いは、不発に終わった。
柳瀬香織陣営の本丸は切り崩せないとなると、地味ーに外堀から攻略していくしかない。
過去の出演者で、香織さんと事務所が同じタレントを捜す。
五組いた。
〔まーから行け、まーから。多分一撃で片付くだろ〕
バラエティーアイドル門倉麻里愛。
門倉十兄弟の一人。
つまり、義妹だ。
そして、優里愛同様陰陽師赤星拓真の血を引いている。
確かに事情さえうまく説明できれば、一撃で決まりそうだ。
早速電話を入れる。
『どうしたの!? 珍しいねぇ』
確かにあまり電話はしないが、そんなに驚かれる筋合いもない。
「あのね、まーちゃんの同僚にさ、柳瀬香織ってコいるじゃない」
突っ込みたかったが、時間が惜しい。
『ああ、柳瀬ね……』