輪廻怨縛


あまり芳しい反応ではなかった。
二人の間になにかあったのだろうか。


「仲悪いの?」


『なんかやな感じがするんだよね……。正直こっちから声掛けたこと無いし。柳瀬もあたしを嫌ってるみたい。交わす言葉は挨拶だけ』


やな感じ……、生理的に受け付けないとか、そういう魂の領域の問題なのだろうか。


「なんか……、されたの?」


『別にそういう訳じゃないんだけどね。ただ、なんて言うのかな……、生理的に? ねーさんの言葉借りるなら、魂が拒絶してる? そういう感じ』


「どんなふうに嫌いなの」


『解んないんだよねー。あたしはもう、パッと見て【こいつ、やだ】って。もうそんだけ。第一印象険悪で、そっからもう雰囲気最悪になるまでまっしぐらだったわねー……』


前世だ。
間違い無くこの二人、前世でなにかあったのだ。


「まーちゃん怨霊除けの結界張れるよね。張ってもらえる? 魂呼び出したいから」


『なに!? なんなの!? 柳瀬がどうかしたの!?』


「香織さんね、多分ニ体から……、祟られてる」


麻里愛は今でも心霊系の特別番組で一緒に司会をすることがある、心霊仲間だ。
怨霊から祟られることの危険性を充分に理解している。
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