輪廻怨縛
香織さんを魂が嫌っているが……、いったいどう出てくるのだろう。


『んー、柳瀬かぁ……、正直柳瀬なんかのために命張るのもアホくさいんだけど……。怨霊か……。怨霊ねぇ……。怨霊……』


「テル番教えてくれるだけでも構わないんだけど」


『あたしが柳瀬の電番なんか知る訳無いじゃん』


取り付く島も無い。
前世から続く因縁というのは、それほど根強く残ってしまうのだ。
おそらく転生への道を選んでいなければ、麻里愛の前世もまた、雪奈や喘息侍と共に香織さんを祟っていたに違いない。


「ダメかな……、呼出し」


『……、……結界張るだけでほんとに大丈夫なの……?』


《赤星くん、あんたの教えた結界で太刀打ちできるの?》


〔ビミョーだな……。そこらのザコなら充分だけど、昨日の雪奈みたいのが出てくるとちょっと……〕


そうなのだ。
否定はできないのだ。


昨日の優里愛の件は、わたし達がすぐ傍にいたから対応できたが、麻里愛は今、離れた場所にいる。


あの犯行声明が【大村千夏(柳瀬香織)の除霊から手を引け】という脅しのつもりだったなら。


雪奈がまた、ちょっかいを出してくる可能性は否定できないのである。
< 73 / 87 >

この作品をシェア

pagetop