輪廻怨縛
「なんかやな感じがするんだよね……。正直こっちから声掛けたこと無いし。柳瀬もあたしを嫌ってるみたい。交わす言葉は挨拶だけ」
実際は挨拶もさせたくないぐらいなのだが……。
まあ、麻里愛もここまで嫌ってくれているなら、間違っても親しくなることは無いだろう。
それでいいのだ。
あの女は魔王なのだから。
人の皮を被った……、人喰い鬼なのだから。
『なんか……、されたの?』
されたのだということを麻里愛の口から言わせることができないのがもどかしい。
大声で叫びたい。
騙されたのだと。
今すぐにでも誰かに訴えたい。
殺されたのだと。
なぜねーさんはあんな大村なんかの肩を持とうとするのだ?
それがどれだけ世間にとって迷惑千万なことなのか、何とか理解してもらいたい。
あんなやつは、死んだほうが世のため人のためなのだ。
「解んないんだよねー。あたしはもう、パッと見て【こいつ、やだ】って。ただそんだけ。第一印象険悪で、そっから雰囲気最悪になるまではまっしぐらだったわねー……」
ねーさんもいい加減やめてほしい。
そろそろ麻里愛ではなくあたいが嫌っているのだということに気付いてもいい頃だと思うが。