輪廻怨縛
『まーちゃん怨霊除けの結界張れるよね。張ってもらえる? 魂呼び出したいから』
やっと気付いてくれたらしいが、まさか呼出しとは……。
正直言って嫌だ。
ねーさんの中に入ってしまうと、滅多なことを言えなくなる。
せっかく頑張って転生できたのに、消滅なんて、させられたくない。
八心思兼神赤星拓真という男は、話はよく聞いてくれるが、結局【許してやれ】としか言ってこないのだから。
あれだけのことをされて許してやれの一言で許してやれるなら、お白州も奉行所も警視庁も裁判所も、全く要らない。
「許してちょんまげ」
「はいはいはーい」
そんな言い草がまかり通るなら、世の中の全てがこのやり取りで済まされてしまう。
冗談ではない。
いつの世にも、謝罪で済まされることと、済まされないことがあるのだ。
そんな口だけの謝罪で許してやれるものか!
うまくはぐらかさなくては。
怨んではいたけど、もう許してやってるというふうに思いこまさなくては。
「なに!? なんなの!? 柳瀬がどうかしたの!?」
このままの流れだと間違い無く呼び出される。
いつ呼ばれてもいいように、心の準備をしておこう。