輪廻怨縛


『香織さんね、多分ニ体から……、祟られてる』


知っている。
そんなことはとっくの昔に解っている。




だからこそあたいは、傍観しているのだ。




ついでに言うと、祟り主が誰で、大村に何をされたのかも知っている。


みんなあたいの知り合い、というより仲間だ。


大村も含め、それはそれは仲睦まじい心友同士だった。


それがどうした訳か、割れてしまうのだ。


永い年月をかけて培ってきた絆がズタズタに引き裂かれ、大村だけが生き残る仲間割れという結末を迎えてしまうのである。


一番始めに死んだのがあたいだった。


だからこそ、大村がどういう考え方で動いて、どういうことをしてきたのか、全てを知ることができたのだ。


せめて一番最後に殺してほしかった。
それならば、最後に死んでいった加奈同様、大村の陰謀など全然疑わずに死ぬことができたのに……。


結局加奈だけなのだ。
大村のことを全く怨んでいないのは。


「んー、柳瀬かぁ……、正直柳瀬なんかのために命張るのもアホくさいんだけど……。怨霊か……。怨霊ねぇ……。怨霊……」


実はその心配は全く要らなかったりする。
雪奈達は知っているのだ。
門倉麻里愛は同志の生まれ変わりなのだということを。
< 79 / 87 >

この作品をシェア

pagetop