輪廻怨縛




『ダメかな……、呼出し』


ダメだと言っても強行突入して来ることは解り切っている。
ここは一々警戒信号を出さず、麻里愛の顕在意識の判断に任せることにしよう。


「……、……結界張るだけでほんとに大丈夫なの……?」


疑っているようだ。


それはそうだろう。


麻里愛に術を教えたのは、赤星なのだから。


そして、麻里愛は見てしまったのだから。




昨日の前世先生で、易々と出演者が雪奈に取り憑かれ、

師匠である赤星が術力では対抗しきれずに、霊力を以って漸く追っ払っているザマを。




当然結界の耐久性に疑問符の一つも付けたくなるだろう。


さらに問題なのは、結界でガードする相手が昨日赤星をてこずらせた雪奈である公算が高いことなのである。


術力で手も足も出せなかった赤星から教わった術が通用する公算は、限りなく無に等しいのだ。


『……、……、……』


空気が少し沈黙した。


なんなのだろうか、この間は……。


『まーちゃん今どこ?』


沈黙を打ち破る言葉は、麻里愛に対する所在の確認だった。


いったい何をするつもりなのだろう。
考えが全く読めない。
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