輪廻怨縛
『結界張った。クソオヤジのツラだけは絶対に見たくない。ただでさえあいつと全くおんなじ顔、毎日見なきゃいけないのに……。本人の顔なんか死んだって見たくない……』
予想した通りの結果だった。
麻里愛のこの行動に、雪奈達がキレなければいいが……。
取り敢えず近いうちに呼び出されることはほぼ確定だろう。
心の準備をしておかなくては。
多少怨んではいるが、もう許している、そんなふうに思い込ませるように……。
《門倉麻里愛の魂よ、我が呼出しに応え賜え》
どこからともなく、ねーさんの声が聞こえてくる。
それに反応するように辺りを見渡すと、強制的な吸引力に捕らえられ、そのまま引っ張られてしまった。
ついさっき呼び出されたときと全く同じ感覚だ。
あれからいくらも経ってやしないのに、本当に人使いが荒い。
とはいえ、どうやら現世とあの世では時間の概念が根本から違っているようなのだが……。
またいつか体験した通りの暗ーく、無だにだだっ広い空間へと吸い込まれてしまった。
暗いところは怖い。
なにかもう、生理的に嫌だ。
《来たわね。間違い無く真里さんなの?》