輪廻怨縛
〔ちょっとちょっと。ねーさんが呼んだんじゃなかったのかい? あたいじゃなかったら誰だってーのさ……〕
またあたいをこんな怖いとこにほうり込んで……。
ちょっと八つ当たりでもしてやるとしよう。
〔あたいが暗いとこダメだって知ってんだろ? あたいを呼んだんじゃないんなら、還らせてもらうよ!?〕
《ごめんねー。変な怨霊でも取り憑いてたら、あんたより先に来ちゃうからさ、一応確認しとかないと》
心配されなくてもそんなに簡単に怨念など寄せ付けない。
本来怨霊と化してもおかしくないほどのオーラを持っているのだ。
そこら辺の怨霊が相手なら、互角以上に立ち回ることができる。
〔ねーさんあたいを誰だと思ってんだい……。怨霊のことなら心配いらないさ〕
どういうつもりなのだろうか、ねーさんにはなかなか本題を切り出してこない。
なにかとんでもないことを企んでいそうで、そこはかとなく不気味だ。
《だよねー。どうして真里さんって、そんなに強いの? わたしの魂と交換トレードしてほしいわよ》
……。
いったい何をさぐっているのだ?
暗い景色に合わせるかのように、精神までもが疑いの闇に包まれていく。