輪廻怨縛
まるで、無による拷問だ。
駄目だ、このままでは、完全にねーさんのペースに嵌まってしまう。
怨み続けていることを、隠し通せなくなってしまう。
《ところでさ、真里さん【柳瀬香織】ってコ知らない?》
来た!
大村だ!
大村千夏だ!
どうする?
乗るか反るか……。
いったい、どう出るべきなのだろう。
《なに、どうしたの? 随分と間があるね》
くっ……、無理か……。知らぬ存ぜぬでは通じないか……。
〔知ってるよ。あいつは大村千夏って言うんだ。あたいの上司だった女、甲斐の歩き巫女さ〕
《真里さんさあ、もしかして……、持っちゃってない? 怨みとか……》
いよいよ来たか……。
怨んでいる。
勿論怨んでいる。
消すべし、気配をとことん消すべし!
〔怨んでなんて、そんなことはないさ。あたい達仲良し四人組だったんだから〕
そう、今川が崩壊するまでは。
そして、四人の中に変な感情が巣くってくるまでは……。
《じゃあなんでまーちゃん、毛嫌いしちゃってるのかな……。真里さんが絡まないならまーちゃん自身が嫌ってるのかな……》
必然そうなる。