輪廻怨縛
魂は嫌っていないと言い張っているのだから、どうしたって麻里愛自身が顕在意識のみで嫌っていることになるのだ。

〔そうなんじゃないのかい? 全部が全部あたいの意識って訳でもないんだから。麻里愛が個人的に嫌ってるだけってことも有り得るだろうさ〕

この言い草が無事に通ってくれればいいが……。
まあ、無理だろう。

《うーん、さっきぱっと見てすぐあいつ嫌いって思ったって言ってたんだけど……。柳瀬さんってそんなに近寄り難い空気持ってる人なの?》

やはりそう来たか。
いくら言い繕ったところで、麻里愛自身が生理的に受け付けなかったと申告してしまっているのだ。
生理的にということは、魂がということなのである。

なんとか言いくるめてやりたいが、ここでそうだよと言ったところで、会ってしまえば表向きは親しみやすい人柄であることがバレてしまうだろう。

《どうしたの。やけに間が長いんだけど。もしかして言い訳考え中?》

……、駄目だ。
正直に話そう。

〔……、怨んでるよ。怨んでるに決まってんだろ!〕
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