恋する季節の後ろ髪
あんまりにも潔い顔でいうものだから、なんだか向日葵のようで。
きっと今後向日葵を目にする度に、私はこの人の笑顔を思い出さずにはいられないだろう。
そう確信する。
だから私はもう1度、
「嫌な人ね、やっぱり」
そういってやる。
互いの足枷(あしかせ)にするわけじゃなく。
甘い傷跡にするわけでもなく。
例えるなら、そう。
──“フォトフレーム”
色々な想い出を、様々な時間をそこに飾るフォトフレーム。
主役はその中の写真で。
それは決して主役にはなりえない。
けれど、幾度そこに飾る写真が替わっても、それは変わらない。
「じゃぁね」
「気をつけて」
背を向ける。
今はまだ、飾るもののない向日葵色のフォトフレーム。
そっと内ポケットに忍ばせて。
私は歩き出す。
誰に合わせるでもない。
私の歩幅で。