爆走★love boy
呆然と立ち尽くしていると、マサさんが手の甲で血をぬぐい、そして口を開いた。



「その男、最低だぞ」



え――。



私とナナミが、同時に先輩を見た。



先輩は……なにも、言わない。



ただ無言でマサさんを睨みつけていて……そして、不意に私の手をつかんだ。



「ちょっ、なに?」



急に引っ張られ、バランスを崩す。



「帰るぞ」



「帰るって、どうして……」



私の言葉なんて耳もかさず、先輩はどんどん歩いて行く。
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