爆走★love boy
今まで一度も電話で話したことのない相手に戸惑いつつも、私は通話ボタンを押した。



「もしもし?」



少し緊張して、声がうまく出てこない。



――亜美? 俺。



「うん……」



――今日暇? デートしない?



「え……?」



デート?



もちろん、恋人同士なんだからデートくらいしても普通だと思う。



でも、先輩と付き合い続けるか別れるか悩んでいた私にとってそれは、大きな三文字だった。



――無理かな?



その問いかけに、私はしばらく考えて、それから「暇です」と、答えたのだった。

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