Parting tears
第四話 初デート
 高山台公園に着くと、和哉は透明な傘を手に持っており、私の姿を見つけた途端、駆け寄って相合傘をしてくれたのだった。


「ありがとう。小雨だったし、傘忘れてた」


「風邪ひくなよ」


 和哉の声はとても心地良かった。そして私はドキドキして、顔をまともに見ることさえ出来なかったのである。


「雨だし、カラオケでも行く? 隼人から聞いたよ。歌上手いんだってね」


 隼人からそんな話しまで聞いたのか。そういえば、誰か呼ぶんだろうか?


「いいよ。でも上手いか下手かは聴いてみないと分かんないよ~。そうだ、誰か呼ぶ?」


「あっ、多分今西とか今日予定あるようなこと云ってた気がするけど、電話してみようか?」


「私はどっちでもいいけど」


 それきり、和哉は誰にも電話を掛けることなく歩き出したので、私も歩幅を合わせて歩いた。

 和哉は他に誰も呼びたくないのかもしれない。私も二人きりでいたいな。
 そんなことを考えていた。

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