Parting tears
「俺、思うんだけど、美久は隼人に悪巧みを持ちかけたんじゃないかと思う」


「悪巧み?! 何それ? どういう意味?」


「これは俺の想像だけど、美久も隼人も俺達を別れさせたいんじゃないかな。俺、今西に電話して訊いてみるよ。あいつなら中立の立場だし、何か聞いてるかもしれない」


 そう云うと和哉は今西に電話を掛け始めた。

 確かに和哉の想像通りなのかもしれない。美久は私と和哉が付き合うことが嫌なわけだし、隼人も同じ気持ちだったら……。

 しばらく和哉は今西と会話をしていたが、端整な顔を歪めている。

 そして電話を切ると大きく溜息を吐いた。


「分かったよ。今西の話しだと、隼人から電話があって聞いたらしい。美久はどうしても俺達を別れさせたいらしく、隼人が今でも結麻のことが好きなことを知っているから、二人で協力して俺達を別れさせようと、そう持ちかけたらしい。隼人は断りきれず、かといってそんな陰険なことしたくないから、今西に相談したんだって」


「そう。でもどうして……そこまでして美久は私達を別れさせたいんだろう」


「あんな奴だと思わなかったよ。もう美久とは会うな」


 私は頷いた。

 美久は今までにも、私に彼氏が出来ると邪魔をしてきたことがあった。今度ばかりは邪魔されたくない。私は強くそう思う。
 

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