Parting tears
和哉がどんな顔しているのか、気になっていた私は身を乗り出したが、
「おい、何もぞもぞ動いてんだよ。きついじゃね~か」
隼人にそう云われたので、ゴメンゴメンと謝り、結局おとなしく後部座席に座り直した。丁度私の前に座る助手席の和哉はハッキリ顔が見えなかったものの、身を乗り出した際、ちらっと横顔が見えた。彼は色白で、端整な顔だと思う。私は、横顔から想像を膨らませていた。
その時、私の携帯がポケットで振動したので、取出しディスプレイを見ると、彼氏である大輔からの着信だった。目ざとい美久は、それに気付き訊いてきた。
「何、彼氏から? ドライブ行ってんの彼氏にばれたらヤバイんじゃない? そしたら私が上手く云ってあげるよ」
「大丈夫、大丈夫。それより、後どのくらいで着くのかな~」
私はすぐに話しを変えた。
美久には何度か付き合ってる彼氏にちょっかいを出されたことがあったため、あまり自分の彼氏とは関わってほしくなかったのである。
大輔は喧嘩したことを謝るつもりでかけてきたのかもしれないと思ったが、せっかくドライブで盛り上がっていたので、その時掛け直す気にはなれなかった。
すると隼人が小さい声でつぶやいたのである。
「やっぱり結麻はモテるんだな。今彼氏いるのか」
幸い隼人のひとり言は、私以外聞こえていないようだったので安堵した。
しかし違ったのかもしれない。聞こえていたのか、いないのか分からないが、今西が急に話題を振ってきたのである。
「結麻ちゃん、隼人と付き合う気はないの? いつも結麻ちゃんの話ししてるぜ」
そんなこと云われても、付き合う気はないと本人の前で答えるのも酷な話しだと思う。
どうしたものか……。考えあぐねていると、和哉が窓の景色を見ながら声を上げた。
「もうあれ海じゃないか?」
「おい、何もぞもぞ動いてんだよ。きついじゃね~か」
隼人にそう云われたので、ゴメンゴメンと謝り、結局おとなしく後部座席に座り直した。丁度私の前に座る助手席の和哉はハッキリ顔が見えなかったものの、身を乗り出した際、ちらっと横顔が見えた。彼は色白で、端整な顔だと思う。私は、横顔から想像を膨らませていた。
その時、私の携帯がポケットで振動したので、取出しディスプレイを見ると、彼氏である大輔からの着信だった。目ざとい美久は、それに気付き訊いてきた。
「何、彼氏から? ドライブ行ってんの彼氏にばれたらヤバイんじゃない? そしたら私が上手く云ってあげるよ」
「大丈夫、大丈夫。それより、後どのくらいで着くのかな~」
私はすぐに話しを変えた。
美久には何度か付き合ってる彼氏にちょっかいを出されたことがあったため、あまり自分の彼氏とは関わってほしくなかったのである。
大輔は喧嘩したことを謝るつもりでかけてきたのかもしれないと思ったが、せっかくドライブで盛り上がっていたので、その時掛け直す気にはなれなかった。
すると隼人が小さい声でつぶやいたのである。
「やっぱり結麻はモテるんだな。今彼氏いるのか」
幸い隼人のひとり言は、私以外聞こえていないようだったので安堵した。
しかし違ったのかもしれない。聞こえていたのか、いないのか分からないが、今西が急に話題を振ってきたのである。
「結麻ちゃん、隼人と付き合う気はないの? いつも結麻ちゃんの話ししてるぜ」
そんなこと云われても、付き合う気はないと本人の前で答えるのも酷な話しだと思う。
どうしたものか……。考えあぐねていると、和哉が窓の景色を見ながら声を上げた。
「もうあれ海じゃないか?」