Parting tears
 そして、付き合い始めて一年が過ぎた頃、始めてデートしたあの日見れなかった星を一緒に見たいと云っていた和哉は、私をプラネタリウムに連れて行ってくれた。

 
「本物じゃないけど、結麻と一緒に見たいんだ」


 プラネタリウムで隣同士の席に座り、一緒に見上げた。視線の先にはたくさんの星が浮かび、北斗七星など、ハッキリと見える。

 和哉はそっと私の手を握り微笑んでいた。その表情はとても穏やかで、私にはこの星達がまるで本物のように感じられた。時間はゆっくりと流れ、私と和哉だけの空間だった。

 場内が明るくなると、夢から覚めたみたいで少し残念に思ったことを覚えている。


「和哉ありがとう。いつか本物の綺麗な星がたくさん見られる場所に、一緒に行こうね」


「ああ。絶対いつか必ず行こう。結麻と見れたらどんなにいいだろうと思うよ。そうだ、来年だったと思うんだけれど、獅子座流星群が見えるんだって。その時も一緒に見に行こう」


「楽しみだね」


 私達はお互いの言葉を信じ、手を繋ぐと歩き出した。

 そして私達は、十年後のお互いに手紙を書き河川敷へ埋めようという話しになった。

 それから二、三日後、河川敷にタイムカプセルを埋めたのである。

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